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オーストラリアの空気に触れて  〜10年越しに叶ったワーキングホリデー〜

日本には目に見えない“社会のレール”があるように思う。(大抵の人は)22歳で(有名)大学を卒業し、正社員で辞めずに働き続け、20代ぐらいで異性と結婚して子どもを持つ。SNSはそんな写真で溢れ、逆にそのレールに乗れなければ焦ったり、ましてや社会から取り残されているように感じることさえある。私はその概念や偏見に縛られ苦しめられていた。
 夢だったワーキングホリデーに行くということは、高校教員を退職し一般的な前述のレールから外れるということだった。不安や周囲から心配の声もあったが、人生は一度きりだと思い渡航を決めた。
 決して容易な決断ではなかったが、今では心からここメルボルンに来てよかったと思っている。ここは様々なバックグラウンドを持つ人で溢れ、多様な価値観、生き方が尊重されている。例えば履歴書では、年齢、国籍は書かず、顔写真さえ載せない。そういった表面的なことで人を判断する文化がないようだ。私はこちらの“ありのままの自分でいていい”という空気感に癒されている。今までのいろいろな悩みから解放され、まるで天国に来たかのような気さえする。
 もし過去の私のように社会のレールに苦しむ人がいれば伝えたい。何歳になっても、今日より若い日はない。だから何でも今挑戦したらいい。自分の感じるわくわく・違和感に素直になって、自分が本当にしたいことを心に問えばいい。どんな人生でも、自分が心から幸せだと思える生き方をしよう。

植野梓(高62回)